新株予約権とは「株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利」をいいます。(会社法 第2条第21号)
新株予約権の保有者は、一定の期間内に予め定められた権利行使価額を払い込むことで会社から株式の交付を受けることができるため、新株予約権を第三者割当増資等と組みあわせることで柔軟な資本政策を設計することができます。
また、新株予約権のうち、会社が会社の役員や従業員等に報酬として割り当てた新株予約権のことを特に「ストック・オプション」と呼びます。
ストック・オプションを割り当てられた者は、一定の期間内に、予め定められた権利行使価額で会社の株式を取得し、その後株式を売却することでキャピタルゲインを得ることが可能となりますので、ストック・オプションはインセンティブプランや人材確保の手段としても活用されています。
ただし潜在株式比率(発行済株式数に対する未行使の新株予約権の割合)を高めると、権利行使による既存株主の持分の希薄化のリスクが高まり、上場審査の際に投資家保護の観点から問題になることがあるため注意が必要です。
また新株予約権の割当には報酬としての性格がありますので、割当理由の説明が困難な相手先(役員の知人等)への割当は控えるべきと思われます。
(証券取引所の規則における新株予約権及びストック・オプション)
上場準備会社の新株予約権やストック・オプションの発行、権利行使等については証券取引所の規則に定められています。
例えば東京証券取引所の規則の中では新株予約権やストック・オプションを以下のように定められています。
用語 |
説明 |
規則上の記載箇所 |
新株予約権 |
会社法 第238条第1項に規定する募集新株予約権(募集新株予約権の割当と同様の効果を有すると認められる自己新株予約権を含む) ただし、ストック・オプションとしての新株予約権を除く |
東京証券取引所 有価証券上場規程施行規則第257条 第1項
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ストック・オプションとしての新株予約権 |
申請会社及び子会社の役員または従業員であって、かつ取引所が適当と認めるものに対して報酬として割り当てられた新株予約権 |
東京証券取引所 有価証券上場規程施行規則259条 第1項
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(新株予約権割当の状況の開示及び継続保有の確約)
申請会社が上場申請日の直前事業年度の末日の2年前の日から上場日の前日までの期間において新株予約権の割当を実施している場合は、割当の状況及び価格の算定根拠を「Iの部」に記載しなければなりません(グリーンシート銘柄を除く)
また、申請会社が上場申請日の直前事業年度の末日の1年前の日以後において新株予約権の割当を行っている場合には、申請会社と割当を受けた者は、割当を受けた新株予約権(当該新株予約権に係る取得株式等を含む)を一定期間、継続的に所有すること等を書面により確約しなければなりません。
関連項目:公開前規制