税効果会計における繰延税金資産の評価性引当額とは、「繰延税金資産のうち、回収可能性がないと会社が判断した金額」をいいます。
(注)「繰延税金資産が回収可能性を有していない」とは、「当該繰延税金資産の発生原因となる将来減算一時差異又は税務上の繰越欠損金等が、将来の税金負担額を軽減する効果を有していないこと」すなわち、「将来減算一時差異又は税務上の繰越欠損金等に対応させる十分な将来加算一時差異や課税所得がないこと」をいいます。
(繰延税金資産の回収可能性の判断指針)
繰延税金資産の回収可能性は、多くの場合、将来減算一時差異等に対応させる将来の課税所得が十分にあるかどうかで判断します。
「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」では、会社の過去の業績等を主な判断基準として繰延税金資産の回収可能性を判断する場合の指針として、以下の5つの分類を示しています。
判断指針の概要
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過去の業績等による分類 |
回収可能性の判断 |
1 |
①過去(3 年)及び当期のすべての事業年度において、期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得が生じている。 ②当期末において、近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれない |
原則として繰延税金資産の全額について回収可能性あるものとする。 |
2 |
①過去(3 年)及び当期のすべての事業年度において、臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が、期末における将来減算一時差異を下回るものの、安定的に生じている。 ②当期末において、近い将来に経営環境に著しい変化が見込まれない。 ③過去(3 年)及び当期のいずれの事業年度においても重要な税務上の欠損金が生じていない。 |
一時差異等のスケジューリングの結果、繰延税金資産を見積る場合、当該繰延税金資産は回収可能性があるものとする。 |
3 |
①過去(3 年)及び当期において、臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が大きく増減している。(負の値となる場合を含む) ②過去(3 年)及び当期のいずれの事業年度においても重要な税務上の欠損金が生じていない。 |
将来の合理的な見積可能期間(おおむね 5 年) 以内の一時差異等加減算前課税所得の見積額に基づいて、当該見積可能期間の一時差異等のスケジューリングの結果、繰延税金資産を見積る場合、当該繰延税金資産は回収可能性があるものとする。 |
4
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①過去(3 年)又は当期において、重要な税務上の欠損金が生じている。 ②過去(3 年)において、重要な税務上の欠損金の繰越期限切れとなった事実がある。 ③当期末において、重要な税務上の欠損金の繰越期限切れが見込まれる。 |
翌期の一時差異等加減算前課税所得の見積額に基づいて、翌期の一時差異等のスケジューリングの結果、繰延税金資産を見積る場合、当該繰延税金資産は回収可能性があるものとする。 |
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ただし、 重要な税務上の欠損金が生じた原因、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3年)及び当期の課税所得又は税務上の欠損金の推移等を勘案して、将来の一時差異等加減算前課税所得を見積る場合、将来において5年超にわたり一時差異等加減算前課税所得が安定的に生じることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合 |
分類2に該当するものとして取り扱う |
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また、 重要な税務上の欠損金が生じた原因、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3年)及び当期の課税所得又は税務上の欠損金の推移等を勘案して、将来の一時差異等加減算前課税所得を見積る場合、将来においておおむね3年から5年程度は一時差異等加減算前課税所得が生じることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合 |
分類3に該当するものとして取り扱う |
5 |
①過去(3年)及び当期のすべての事業年度において、重要な税務上の欠損金が生じている ②翌期においても重要な税務上の欠損金が生じることが見込まれる |
繰延税金資産の回収可能性はないものとする |