会社に関する監査には「監査役監査」、「会計監査人監査」、「内部監査」の3つの監査があります。この3つの監査のことを「三様監査」といいます。
「監査役監査」、「会計監査人監査」、「内部監査」は、目的、主体は異なりますが、監査対象や手続きに重複する部分があります。
したがって、監査の効率化と品質向上を行い、コーポレート・ガバナンスの充実に寄与するためには、それぞれの監査人が連携することが非常に重要です。
(「三様監査」の比較)
|
監査役監査 |
会計監査人監査 |
内部監査 |
根拠となる法律 |
会社法 第381条 会社法 第436条 |
会社法 第436条 会社法 第444条 |
- |
監査の主体 |
監査役 |
公認会計士 (監査法人) |
会社の従業員等 |
監査の目的 |
株主及び債権者保護の目的で、取締役の職務の執行を監査します |
株主及び債権者保護の目的で、計算書類、連結計算書類を監査します。 |
企業の経営活動に資する目的で、経営者の指揮の下に、業務部門の体制・活動全般を監査します |
監査の種類 |
会計監査 業務監査 |
会計監査 |
会計監査 業務監査 |
(注)公認会計士または監査法人の監査には、上記の他に以下の監査があります。
・金融商品取引法(第193条の2 第1項)に基づく財務諸表監査
・金融商品取引法(第193条の2 第2項)に基づく内部統制監査
(上場審査における取扱い等)
上場審査においては「監査役監査」、「会計監査人監査」、「内部監査」のそれぞれの監査人が連携をとり、適正かつ効率的な監査が行われているかどうかを審査します。
申請書類においても、各監査人の連携について以下の記載が求められます。
市場 |
申請書類 |
記載内容 |
共通 |
Ⅰの部 |
①新規上場申請会社が上場会社等の場合 (「コーポレート・ガバナンスの状況等」-「役員の状況」) →社外取締役又は社外監査役の監督又は監査と内部監査、監査役監査及び会計監査との相互連携並びに内部統制部門との関係について、具体的に、かつ、分かりやすく記載 ②新規上場申請会社が上場会社等以外の場合 →「コーポレート・ガバナンスの状況等」の「コーポレート・ガバナンスの概要」に、「企業統治に関する事項」として記載することなどが考えられます。 |
東京証券取引所 (スタンダード市場) (プライム市場) |
Ⅱの部 |
三様監査(監査役監査、内部監査、公認会計士又は監査法人による監査)の連携状況 定期会合の開催頻度、日常の意見交換状況、監査項目・監査結果の共有状況等について記載 |
東京証券取引所 (グロース市場) |
各種説明資料 |
監査(監査役監査、内部監査等)について 三様監査(監査役監査、内部監査、公認会計士又は監査法人による監査)の連携状況について記載 |
関連項目:内部監査、会計監査人、内部統制報告制度(J-SOX)、証券会社審査と取引所審査、Ⅰの部、Ⅱの部