シンジケートカバー(取引)とは、オーバーアロットメントを行った引受証券会社が、募集または売出しの申込期間終了後(注1)に、当該オーバーアロットメントにより生じたショートポジション(注2)の数量を減少させるために、当該募集等に係る有価証券を自己の計算で買い付けることをいいます。
(注1)新規上場の場合は、上場日以降実施
(注2)有価証券の売付けに係る持ち高のこと。ここでは、引受証券会社が借株により実施したオーバーアロットメントによる売出しの未決済部分
シンジケートカバー取引は、オーバーアロットメント、グリーンシューオプションとあわせて、ファイナンス直後の株式の需給関係を安定化させる制度です。
(シンジケートカバー取引の概要)
① シンジケートカバー取引は、オーバーアロットメントによる売出し実施時に引受証券会社が、発行会社の株主から借り受けた株式の調達・返還のために実施されます。
シンジケートカバー取引は、株価下落時に実施されます。株価上昇時にはグリーンシューオプションが行使されます。
② シンジケートカバー取引の実施期間は申込期間の終了日の翌日から最長30日間(新規上場の場合は、上場日以降実施)と定められています。(有価証券の引受等に関する規則 第29条 第3項、第4項)
③ 引受証券会社は、シンジケートカバー取引またはグリーンシューオプションの行使が完了した場合には、取引所の規則により、シンジケートカバー取引またはグリーンシューオプションの行使の総数量等を報告します。(シンジケートカバー取引の報告に関する規則)
取引所は、シンジケートカバー取引等完了報告書を公衆の縦覧に供することができます。(報告書の内容は、Web上で確認することができます)
(シンジケートカバー取引のイメージ)
株価下落時(供給超過時)に行うシンジケートカバー取引には、市場における株式の需給を安定させる効果があります。一方、グリーンシューオプションの行使は、株価上昇時に実施されます。
(参考1)グリーンシューオプションの類型
① 第三者割当型
発行会社から「株式を取得できる権利」の付与を受ける方法です。権利行使時には、引受証券会社(権利者)から発行会社に対して行使価額の総額が払い込まれ、新株が発行されます。
第三者割当型のグリーンシューオプションが行使されると、行使された株数分だけ上場時の新株式発行を増やしたのと同じ結果となります。
② 売出し型
発行会社の株主から「株式を取得できる権利」の付与を受ける方法です。権利行使時には、引受証券会社(権利者)から株主(貸株人)に対して行使価額の総額が払い込まれます。
売出し型のグリーンシューオプションが行使されると、行使された株数分だけ貸株人が上場時の売出しに参加したのと同じ結果となります。
株価上昇時(需要超過時)には、引受証券会社はグリーンシューオプションを行使し、市場から株式を買い付けることなく、株式の需給バランスに影響を与えずに株式の返還等を行うことができます。(ただし、第三者割当型の場合はダイリューション(希薄化)が生じます)
(参考2)一般的なシンジケートカバー取引等のイメージ