【鈴木】IPO準備の観点からフジテレビの教訓

昨年よりフジテレビの女子社員と中居氏との問題が大きな話題になっています。

芸能界の特殊性や経営者の長期独裁などの指摘もありますが、一方、企業体制として企業のコンプライアンスやコーポレートガバナンスの不在なども問題があったとクローズアップされました。IPO準備においてはこれらの体制について審査を受けます。今回の事件は上場前の体制作りについて参考になると思います。

 

 

まず関係ポイント簡易的にまとめてみます。

     コンプライアンス(ラルクHPよりコンプライアンス

通常は法令順守と訳されます。体制整備としては、関連規程の整備、社内外通報制度の整備などを行います。社外通報先は社内通報者の個人のプライバシーの保護が大切になる為、外部機関を窓口とします。また、「コンプライアンス委員会」を立ち上げます。

委員には社内からの人選だけでなく、社外の有識者として外部の弁護士や社外役員で構成することが多いです。

     コーポレートガバナンス(ラルクHPよりコーポレートガバナンス

  「コーポレートガバナンス」は一般的には、「企業統治」と訳されます。

  「コーポレートガバナンス」の考え方はもともと、「株主の利益のために経営者を監督する仕組み」として生まれたと言われていますが、現在、取引所は「コーポレートガバナンス」を、「会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」と定義しています。

     リスク管理

企業運営において阻害する事項や要因に関して、リスクの把握、分析、評価などを行い、問題が発生した場合の対応などの検討を行うためのものです。通常は「リスク管理委員会」を立ち上げ、社長やリスク担当役員を委員長とし、外部の専門家などで構成することが多いです。

     グループ管理(運営)

  上場審査では子会社管理面についても状況確認が行われます。特に重要な子会社の場合は、親会社と同等レベルの管理を要請されます。

     株主総会運営

  社長(会長などの場合もある)は議長として会社法上の絶大な権限を持ちます。

     秩序維持権、②議事整理権、③退場命令権です。

 

フジテレビに当てはめると、社長に上がった問題をコンプライアンス委員会に報告していなかったと言われていますので上記の①や②の運営上の判断が甘かったのでしょう。また、フジテレビはフジ・メディアホールディングスの重要な子会社であり、表面上の管理体制は整っているように思いますが、実質運用や親会社としての管理はそれほど機能していなかった問題も浮上しています。また、記者会見については、1回目の記者会見に対する批判から、2回目は統制が効かない状況に陥ってしまった点などの違いもありますが、上記の③と⑤を認識して改善できる部分はあるように思います。

 

適切な規程やルールなどを制定していても、問題を認識し、どのように判断し行動するかは、人間(役職員)によると言うことですね。取締役の善管注意義務については避けますが、上場会社の役員は、各種法令や社会を反映して状況を認識し対処することも、より重要な時代になってきました。

 

 

未上場から上場企業になると、マスメディアにも注目を浴びる機会が多くなり、問題によっては瞬く間に世間に広がります。上場によるメリットが一気にデメリットになることがあるのです。上場する会社の体制整備準備にあたっても教訓となった事件ですね。

 

鈴木

IPO状況3月7日現在

2025IPO数(予定を含む)=18

2024年IPO数(通期)=86社*

 

市場別

2025

(含予定)

2024

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

ネクスト-名

アンビシャス

1

2

13

4

13

64

1

4

1

 Qボード 1 3

合計

    18

  90

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

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過年度のIPO状況

2024IPO数(通期)=86*

 

市場別

2024

(通期)

2023

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

4

13

64

1

0

4

1

2

23

66

5

1

1

0

 Qボード 3 1

合計

    90

  99

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

2023IPO(通期)=96*

 

市場別

2023

(通期)

2022

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

2

23

66

5

1

1

0

3※1

142

70※3

2

0

2

1

 Qボード 1 0

合計

   99

   92

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

1:東証11社を含みます。

2:東証2部+JQ4社を含みます。

3:マザーズ10社を含みます。

 

2022IPO数(通期)=91

 

市場別

2022

 (通期)

2021

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

東証1

2

10

60

1

6

東証2

3

8

マザーズ

10

93

JASDAQ

メイン-名

1

2

16

名証2

0

3

ネクスト-名

セントレックス

2

0

1

Qボード

アンビシャス

0

1

3

合計

  92

 130

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。