【関口】IPOの目的の再確認

 東証は7月に「2024新規上場ガイドブック」を発刊しました。新規上場ガイドブックは取引所の上場審査の考え方や手続きを解説したもので、上場準備企業にとっても重要な書籍です。

 新旧対照表を見ると、2023年版からの大幅な改訂はなさそうですが、いくつかの変更が行われています。

 

 特に注目すべきは、ガイドブックの冒頭「Ⅰ 上場制度の概要」に新たに加えられた以下の一文です。「株式を新規に上場すること(IPO)はあくまでも企業価値向上の実現のための手段であり、投資者からは、IPOを契機として上場後に更なる成長を実現していくことが期待されています。IPOを行うにあたっては、上場後の成長戦略に照らしてIPOをどのように活用するのかをよく検討したうえで、その目的について積極的に投資者に示していくことが重要です。」

 また、東証は5月に「「事業計画及び成長可能性に関する事項」の作成上の留意事項」を改訂し、グロース市場への新規上場日の開示においては「上場後の成長戦略に照らして、IPOをどのように活用しようとしているのか、その目的について記載してください。」という文言が追加されました。

 

 新規上場ガイドブックや事業計画及び成長可能性に関する事項の改訂により、「IPOの目的」の検討や開示が新たに要求されていますが、IPO市場はこれまでも長く存在してきた中で、ある意味ではごく当たり前のことがこのタイミングで記載されたことに違和感を覚える人もいるかもしれません。しかし、東証をはじめとする市場関係者が検討の上でこの改訂を行った背景には、残念ながらIPOの目的が明確でないIPO事例が一定数存在している事実があるということだと思います。

 

 実際、上場準備企業を長く支援していると、IPOの目的が明確でない(記載しようとしても記載ができない)企業が意外にあると感じます。IPOの目的が明確でないまま上場準備を開始し、準備がある程度進んだ段階になって初めて社内で上場の目的を議論するケースも複数見てきました(結果的に、IPOを目指すことを中止したケースもあります)。

 IPOを夢やロマンと考える企業や経営者は少なくないでしょうし、最初にIPOを目指した段階ではその目的が必ずしも明確になっていないことがあるのも現実だと思います。上場準備を開始する段階で目的を明確にすることが理想的ですが、現在進行中の上場準備においても、目的が不明確なのであれば、改めて自社のIPOの目的を検討し、社内で議論することは有意義だと思います。

 

関口

 

2024IPO社数(予定を含む)=60*

2023IPO社数(通期)=96*

 

9月13日現在

市場別

2024

(含予定)

2023

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

1

9

46

1

0

3

1

2

23

66

5

1

1

0

 Qボード 2 1

合計

   63

99

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

 

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2023IPO社数(通期)=96*

2022IPO社数(通期)=91*

 

市場別

2023

2022

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

2

23

66

5

1

1

0

3※1

142

70※3

2

0

2

1

 Qボード 1 0

合計

   99

92

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

1:東証11社を含みます。

2:東証2部+JQ4社を含みます。

3:マザーズ10社を含みます。

2022IPO社数=91

2021年IPO社数=125社

 

市場別

2022

 

2021

(参考)

プライム

スタンダード

グロース

東証1

2

10

60

1

6

東証2

3

8

マザーズ

10

93

JASDAQ

メイン-名

1

2

16

名証2

0

3

ネクスト-名

セントレックス

2

0

1

Qボード

アンビシャス

0

1

3

合計

92

130

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。