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【古川】グロース市場の上場基準に係る検討

東京証券取引所のプライム企業の選別が進んでいます。2023年3月末の上場社数は2022年4月の市場再編から2割減の1650社と、12年ぶりの低水準となりました。

市場再編時に、基準を満たさない約300社にも経過措置としてプライム上場を認めましたが、その後スタンダード市場に無審査で移れる特例を設ける、資本コストや株価を意識した経営を求める等の取組を行った結果、プライム企業が減少に転じていると考えられます。経過措置の適用企業は、市場退出や基準達成が進んだことで2023年3月末に96社となり、2年前から7割減少しています。

 

一方で東京証券取引所における市場区分の見直しに関するフォローアップ会議で、グロース市場の機能発揮に向けた今後の対応について検討が進んでいます。

グロース市場に対する問題意識としては、現在のグロース市場のコンセプトと実態に乖離があるのではないかという点があると思います。これは「グロース市場の上場基準に係る検討」という資料に以下のような事実が記載されていることからも読み取れます。

  • 現在のグロース市場においては、現行の時価総額基準の水準である40億円を下回っている会社が全体の約3割存在する。
  • 現在のグロース市場上場会社における新規上場時からの時価総額成⻑率の中央値は1.03倍。全体の49%は、現在の時価総額が新規上場時の時価総額を下回っている。(数値は2023年12月末時点)

検討項目としては①上場理由等の開示の促進、②上場準備に関する正しい理解の促進、③投資者への積極的な情報発信の促進、④機関投資家への情報発信の支援、⑤上場基準の引き上げ、⑥プロ向け市場の活用の促進がありますが、上場準備企業として関心が高いのは「⑤上場基準の引き上げ」ではないでしょうか。

 

上場基準の引き上げについては、①新規上場基準を引き上げる、②上場維持基準を引き上げるという方法が示されていますが、フォローアップ会議の資料中には「新規上場基準については、非上場分野における環境整備の進捗状況等を踏まえつつ検討を⾏うものとし、

まずは、上場維持基準を中心に、上場会社の状況等のファクトを踏まえて検討を進めるものとしたい。」との記載があり、新規上場基準は変更せず、上場維持基準の引き上げを行うことを中心に議論が進んでいくものと思われます。

フォローアップ会議の議事録については東京証券取引所のホームページに公開されています。当該議事録を見ると委員の中からは様々な意見がでており、そのまま上場維持基準の引き上げとの結論となるかはわかりませんが、グロース上場を検討している上場準備企業は、議論の動向は、留意したほうがよろしいかと思います。

 

古川

 

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