最近、少しは緩やかになってはいるものの、引き続き物価上昇が続いています。さて、このような継続的なインフレ状況は、企業財務に対してどのような影響を及ぼすか考えてみたいと思います。
①会計基準の取扱
現在の日本会計基準において、特にインフレ会計関連の基準は定めていませんが、IFRSにおいては、超インフレ会計(IAS第29号)という会計基準があります。
当該会計基準を適用する前提として、3 年間の累積インフレ率が、100%に近づいているかまたは 100%を超えているという特徴が見られる場合に適用されますので、現状の日本では適用される可能性はまずはないと思われます。もし適用された場合には、一般購買力の変動を反映する一般物価指数における変動の影響を遡及的に調整して、棚卸資産や固定資産等の非貨幣性資産負債の取得価格は修正再表示されることとなります。
現状の日本のインフレ率を考えた場合、3年間の累積インフレ率が100%に近づくまでには至らないと思われますので、特に今後超インフレ会計の議論が生じることは、現状では可能性は低いと思われます。
②財務諸表を分析する際の影響
企業の前年度と比較した際の売上高増加実績を考えた場合に、業種にもよりますが、インフレ影響による売上高増加部分とインフレ影響部分を除いた本来の当該企業の売上高増加部分を明確に区別して、当該企業の業績を分析するのが、実態を把握できることとなります。当然に、販売価格を上げれば売上高は増える一方、価格高騰による需要の減があるので価格上昇効果は減殺されますが、現在のように全般的に価格が上昇している状況では価格上昇による需要の減殺は限定的と考えても宜しいかと思います。
③利益計画への影響
今後も、このようなインフレ状況が継続的に続くことを前提とした場合に、業種にもよりますが、利益計画を策定する際に、物価上昇率等のインフレ率を考慮して今後の売上高や費用等の損益項目を策定するようになる可能性もあります。その際には、上記②と同様に、物価上昇率分の数値を区別して本来の売上高等の数値を鑑みてどの程度の成長性が見込まれるかが重要となってくると思われます。
④企業価値評価(DCF方式)への影響
企業価値評価においてよく利用される手法に、DCF方式(割引現在価値法)があります。これは、企業が将来獲得するであろうと予測されるフリーキャッシュフローを、適切な割引率で現在価値に割り引いたものの合計をもって評価対象の価値とする方法で、企業が策定した3年間から5年間程度の利益計画やCF計画に基づき算定します。なお、企業が策定した計画期間後の期間においては、継続価値として算定しますが、その際に長期成長率を勘案するか否かという問題があります。基本的に長期成長率は経済成長率や物価上昇率等に基づき設定しますが、現在は今までデフレ傾向であったために長期成長率は特に見込まない傾向にありましたが、今後はこのようなインフレ傾向が続く場合には、長期成長率についても見込むことが必要になるかもしれません。
(黒川)
2024年IPO数(予定含む)=86【-】社*
2023年IPO数(通期)=96社*
市場別 |
2024年 (含予定) |
2023年 (参考) |
プライム スタンダード グロース メイン-名 札幌(本則) ネクスト-名 アンビシャス |
4【-】* 13 64 1 0 4 1 |
2 23 66 5 1 1 0 |
Qボード | 3 | 1 |
合計 |
90【-】* |
99* |
*複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。また、【 】は、S-1方式による上場承認前の社数であり外数で記載しています。
過去分はメンバー紹介ページの各メンバーのブログ欄をご参照ください。
【ご注意ください】
当社の社名を名乗った振込詐欺行為が確認されております。当社が個人に対して振込請求を行うことは、有料サービスの提供等、お客様からのお申込みやご依頼に基づくものを除きございませんので、ご注意願います。
(ご参考窓口)
また、現在、世界中で「コールド・コーリング(Cold Calling)」と呼ばれる詐欺的な証券投資勧誘行為も行われております のでご注意願います。
2023年IPO数(通期)=96社*
市場別 |
2023年 |
2022年 (参考) |
プライム スタンダード グロース メイン-名 札幌(本則) ネクスト-名 アンビシャス |
2 23 66 5 1 1 0 |
3※1 14※2 70※3 2 0 2 1 |
Qボード | 1 | 0 |
合計 |
99* |
92* |
*複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。
※1:東証1部1社を含みます。
※2:東証2部+JQ4社を含みます。
※3:マザーズ10社を含みます。
2022年IPO数=91社*
市場別 |
2022年
|
2021年 (参考) |
プライム スタンダード グロース 東証1 |
2 10 60 1 |
- - - 6 |
東証2 |
3 |
8 |
マザーズ |
10 |
93 |
JASDAQ メイン-名 |
1 2 |
16 - |
名証2 |
0 |
3 |
ネクスト-名 セントレックス |
2 0 |
- 1 |
Qボード アンビシャス |
0 1 |
3 - |
合計 |
92* |
130* |
*複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。