証券会社や取引所による上場審査の際に、上場申請会社の社名の由来について質問されることがあります。この質問は、一見、非常に平凡な質問のように思えますが、社名には創業の動機や経営理念が込められていることが多く、社長の説明を聞いて感心することも少なくありません。
では、上場申請会社の大株主である、役員等の個人会社(資産管理会社)の社名はどうでしょうか?
資産管理会社は上場申請会社の大株主ではありますが、あくまで個人会社ですので、社名を考える際には、上場申請会社とは切り離して考える方が多いように思います。
そして特に目を引くのは、大株主の親族の名前にちなんだと思われる社名です。
今回は2021年、2022年に上場した会社の大株主として開示された資産管理会社のうち、その社名が印象的であったものをご紹介したいと思います。
なお、以下にご紹介する資産管理会社の社名(読み方、由来等)についての考察は、あくまで私個人の想像によるもので、事実とは異なる場合があることをご了承ください。
(1)初級レベル〜ストレートなネーミング
㈱平企画(㈱CINCの大株主。平副社長の資産管理会社)
分かりやすい社名です。非常に分かりやすいため、「「企画」とは何か?」の方に関心が行くほどです。
他にも、以下のような分かりやすい社名の事例を見つけました。
伴野アセットマネジメント㈱:ホームポジション㈱の大株主。伴野社長の資産管理会社
合同会社クロ:㈱フレクトの大株主。黒川CEOの資産管理会社
(2)中級レベル〜姓名を英語に直訳したと思われる社名
①TreeTop㈱(㈱アールプランナーの大株主。梢社長の資産管理会社)
社長の姓、「梢」にちなんだものと思われます。
②㈱ビューティープロスペリティー(㈱セイファートの大株主。長谷川社長が議決権の過半数を所有する会社)
長谷川社長の名前からは想像が付きませんでしたが、大株主(社長の親族)に長谷川美栄さんがいらっしゃることから、「美」と「繁栄」を表す社名にしたものと思われます。
③OSAフィールド㈱(㈱長栄の大株主。長田社長の親族が議決権の過半数を所有する会社)
日本語「おさ」の部分をアルファベット表記とする一方、英訳の「フィールド」は、ひとひねりしてカタカナ表記としたものと思われます。
(3)上級レベル〜略号等(ノーヒント)
①YKT㈱、MKT㈱(表示灯㈱の大株主。栗本副会長の資産管理会社)
開示されている情報の中にヒントは見つけられませんでしたが、栗本副会長の資産管理会社YKT㈱とMKT㈱は、もしかすると「ユキト」さん「マキト」さんというご親族の名前にちなんだものかも知れません。
②㈱HOHETO(㈱プログリットの大株主。山碕副社長の資産管理会社)
ご親族に「イロハ」さんがいらっしゃるのでしょうか?
③㈱373(㈱TORICOの大株主。鯉沼専務の資産管理会社)
この社名をどう読むかが問題です。「サン・ナナ・サン」でしょうか?
個人的には「南(ミナミ)」を希望します!
いかがでしょうか?
役員やその親族の資産管理会社の社名にも、いろいろな思いが込められているように思います。
たまには、有価証券届出書やコーポレート・ガバナンス報告書を見て、資産管理会社の社名の由来に思いを馳せてみるのも面白いかも知れません。
(原田)