Excelは、現在のビジネスの現場で幅広く使われている表計算ソフトです。
(表計算ソフトには種類がありますが、以下では、特に断らずに、「表計算ソフト」という言葉の代わりに「Excel」とすることがあります)
表計算ソフトには、データが壊れやすい、計算式などの検証がしにくい、アクセス制限の機能が弱いなどの欠点もありますが、それを承知で使えば、数値の集計や分析などに強力な威力を発揮するツールです。
今回は、管理業務などでExcelを使用して感じることを、いくつかご説明したいと思います。
1. 予算管理とExcel
大きなシステムを入れていない会社では、予算作成・統制のメインツールとしてExcelが威力を発揮します。
(1)長所
いうまでもなく、Excelを使うと、比較的簡単に会社の損益モデルを作成することができます。
損益モデルの作成は、会社の収益・費用の内容、計上基準等をひととおり理解するための重要な作業であり、損益モデルができれば、今後の損益シミュレーションも容易にできるようになりますので、作業支援ツールとしてのExcelの価値は大きいと思います。(Excelがない時代は、どうやっていたのか、考えると恐ろしくなります)
(2)短所
できた損益モデルは、最初の段階では必ずしも予算とはいえません。(敢えて言えば、「損益シミュレーション」でしょう)
価格・数量、変動費率や成長率等、諸々の変数を試行し、変数に根拠を与えることで、はじめて経営者が腹落ちする予算になるのだと思います。(その過程では、モデル自体を変更しなければいけない場合もあります)
しかし、ありがちなのは、広大かつ大量のワークシートに圧倒されて、周囲の人間が十分な検証を行わないまま「これで予算はできた」という気持ちになってしまうことです。
最近のIPO準備会社には、Excel使いが多くおり、すばらしい損益シミュレーションを披露されることもありますが、この点には注意すべきと思います。
2. 以下では、Excelで作成された表に対する、少し変わった評価方法をご紹介したいと思います。(あくまで、私個人の見解です)
(1)合計欄のない表
Excelで作成する資料は、多くの場合、数値の集計を行う表で、検証等の目的で合計欄が必要になります。ところがなぜか、合計欄のない表を作りたがる方がおられます。資料の目的によっては、問題ない場合もありますが、合計欄のない表は注意した方がよいと思います。(合計欄がないということは、作成者自身、合計のチェックを行っていない可能性があるからです)
(2)わかりにくいレイアウトの表
Excelは、縦x横にセルが配置されていますから、Excelで作成された表は基本的に、左から右へ、上から下へ見ていけば、内容がわかるはずです。
ところが、慌てて作った表は、上下左右に目線を動かさないとわからない表になりがちです。
このような場合は、作成者の頭の中が十分に整理できていないことが多いです。(私もよくやります)
(3)美麗な表
最近では「パワポ禁止令」を出す会社も珍しくありませんが、Excelで資料を作成するときにも、プレゼンを意識するのか、妙に凝ったデザインの表を作成する方がいます。
好みが別れる所ではありますが、ここは一つ、質実剛健、「Excelの表は、見やすさと中身で勝負する」くらいの心構えがあってもよいのではないかと思います。
いかがでしたでしょうか?
私もExcel修行中の身ですが、日々精進したいと思います。
(原田)