今年もあと10日となり、2021年のIPOの状況の大勢が明らかになってきました。
2021年のIPO社数は125社(注)で、昨年の93社を大きく上回ることになりそうです。
(注)2021年12月17日現在。(上場予定を含み、TOKYO PRO Marketを除きます)
この時期になると必ず話題になるのが、年間の市場別IPO社数や、主幹事証券・監査法人など、IPO関係者の年間ランキング(シェア)です。
ここでいう「IPO関係者」に明確な定義はありませんが、よく話題に上るのは、証券会社(主幹事、引受証券)、監査法人、信託銀行等(株式事務代行機関)と証券印刷会社です。
今回は、これらIPO関係者のうち、証券印刷会社につぃてご説明したいと思います。
(証券印刷会社とは・・・)
「証券印刷会社」という言葉にも明確な定義はありませんが、有価証券届出書や有価証券報告書、事業報告、招集通知など、上場会社等のディスクロージャー関連資料の制作支援及び印刷を行う会社のことをいいます。
(特別な存在)
「IPO関係者」(証券会社、監査法人、信託銀行等、証券印刷会社)の中で、証券印刷会社のみ、取引所の規則で選定が義務づけられていません。
にも関わらず、IPO準備の際に、「証券印刷会社と契約しなくてよい」というIPOコンサルタントはいません。
なぜなら、証券印刷会社のサービスは、金融商品取引法や会社法、取引所規則などディスクロージャーに関する高度な専門知識と経験に裏付けられており、証券印刷会社の支援を受けるかどうかで、IPO準備会社の作業負担が大きく変わるからです。
(証券印刷会社のシェア)
証券印刷会社には高度な専門知識と経験が必要であるため、現在のIPO市場でこの役割を果たせるのは、事実上、㈱プロネクサスと宝印刷㈱の2社のみです。
(注)2021年のIPO社数125社のうち、66社がプロネクサスと、59社が宝印刷と契約しています。(ラルク調べ)
(証券印刷会社を確認する方法)
上場承認が発表された会社が、どの証券印刷会社と契約しているかについては、取引所の資料を見てもわかりませんが、以下の方法で確認することができます。
上記2つの方法で、上場時ファイナンス中の会社が、どの証券印刷会社と契約しているか、9割方、確認することができます。
しかし、どちらの方法でも、証券印刷会社名がわからない場合があります。
このような場合、ここ数年の傾向で言うと、証券印刷会社はまず宝印刷です。
正確なことはわかりませんが、どうもこれは、両社の目論見書制作の工程の違いによるもののようです。
(原田)