最近、新聞等で「SPAC」についてよく目にしていますが、SPACとは、英語の「Special Purpose Acquisition Company」の略称で、「スポンサー」と呼ばれる運用者が将来買収をすることを目的とする会社であるSPACを設立して、証券取引所に上場して市場から資金を調達するために利用されます。
SPACとして上場する時点ではどの企業を買収するかは未定なので、「空箱」とか「Blank Check Company(宛名のない白紙小切手会社)」などとも呼ばれており、通常2年とされる期間内に、SPACが未上場の事業会社を買収して事業会社を存続会社として合併等します。その際、SPACの株主は新会社の株式を取得できるので、新規上場株の値上がり益を享受できます。
また、株主としては、未上場企業買収の際にSPACの株主総会で買収候補の企業に魅力がない場合には否決することが可能なことや、反対株主は株式買取を求めることが可能であり、また期間内に買収が完了しない場合には、SPACへの投資金は株主に償還されることとなっております。
米国では、2020年に上場したSPACは248社となっており、今年は既に昨年を上回る250社を超えており、調達金額は約950億ドル程度になっています。
SPACを活用するメリットとして、買収対象会社としては、短期間で株式公開が可能となることが挙げられます。現在、SPACが活況なのは、コロナ禍によりIPO環境にも影響が生じたことでより短期間で上場できるSPACの活用が注目されたということが理由の一つとして挙げられるようです。また、買収価額に関して相対で交渉できることも買収対象会社としては利点となります。
一方、SPAC活用のデメリットとしては、買収する側としては、短期間で未上場会社を買収しなければならないために、未上場企業の買収に際して適正なデューデリジェンスが行われない可能性があり、経営基盤がぜい弱な会社も買収対象となってしまいかねないことがあります。また、買収価額が割高となる可能性があります。
ソフトバンクグループの関連会社は、米国で何社かSPACを設立、上場させていますが、直近の「SVF Investment Corp.2」の目論見書を参考に米国でのSPACの主な特徴を挙げていきたいと思います。
買収時に十分な調査が実施されず、上場会社としての適正性が確保されずに上場できてしまう懸念はあり、通常のIPOと比較した場合には、大変リスクのある投資となりますが、米国を始めとして世界的に注目されており、今後の動向に留意する必要がありそうです。
(黒川)