皆さんもご存知の通り新型コロナの関係でIPOマーケットも崩れ、4月6日の上場以降はすべてストップしています。これだけストップ社数が大いのは初めてのことです。いつまでストップするのでしょうか。
過去では1991年11月にソニーミュージックや日立メディコが上場した直後にIPOがストップしました。この時は、上場会社のファイナンスがすべてストップしたことを記憶しています。また、IPOの再開は数か月を要した記憶がありますが正確な期間は記憶しておりません。
再開時にはIPOを希望する会社の集中が予想されました。市場の環境が崩れることを避けるために、週に数社に絞ってIPOをさせる処置がとられました。この時はIPOの日程を調整するのが大変でした。東京証券取引所、証券業協会(当時は店頭市場)と主幹事証券会社が上場希望会社と希望日を予め出して調整しました。そして、事前調整の為に、上場出来ることや上場日を会社に伝えるのは主幹事証券会社でした。「何故、弊社がまだ上場出来ないのだ!」日程が決まったとしても「何故、この日しか上場出来ないのか!」とクレームが続出しました。私は当時大和証券でこの調整も行いました。今となればある面懐かしく思います。だって、今回はそのような当事者にならなくて済むからでもありますが、、、。
今回、30年振りに同じようなことが起きようとしています。もちろん、まだ同じようになるとは限りません。では、どのようなことが想定されるでしょうか。
新型コロナの影響がどのようになるのかは誰も予測が出来ない時期ですので仮定の話です。
クリアーすべきことはいくつかあります。
① 業績見通しが出来る会社であること。
(業績見通しについての感覚に意見の相違が出るものと思われます。)
② バリエーションが小さくても妥協が出来る会社であること。
(やっと上場まで来た会社を、経営者もVC等も安売りしたくはないでしょう。)
③ 規模がそれほど大きく無い(小さい)会社であること。
曖昧な表現しかできませんが、機関投資家の評価が良く、売りやすい価格で、販売しきれる会社と言うことになります。
これらの条件をクリアーできる会社は意外と少ないと思います。
当初は対象会社を絞り込むと思われますので、業績が伸びて安心できる中で評価の高い会社順になるでしょう。
早ければ理論上は5月上場も有り得ると思いますが、証券会社も相当神経を使いながら恐々チャレンジすると言う感じでしょう。
その後は、正に新型コロナの影響次第です。マーケット環境が良く、経済環境が良く、業績見通し良くなればやっと社数を増やしていけます。
ただ、悲観ばかりはしていません。新型コロナの影響も撥ねつけるような、新しい業種、サービス提供の出来る会社はどんどん出てくると思います。
その内、IPOマーケットにおける新型コロナの悪影響も収まりますよ。
とは言え、今回の新型コロナが完全に収束するまでには、何度かの波があると思われます。すなわち、IPOマーケットも再開してはストップを繰り返すこともあるかも知れません。再開した時に、いち早くIPOのスケジュールに乗れるように出来るか否かはその会社の運命を分けるかも知れません。30年前の話をしましたが、当時、私の担当会社はストップになる前のギリギリのタイミングで上場が出来ました。数年後にそのクライアントから言われたのは、あの時上場できていないと倒産していたと。さらに、あの時上場出来たのでその業界のシェアが取れたと。
皆さんいつでも上場出来る準備が大切です!
(鈴木)