【関口】取締役会のあり方

「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(以下、同会議)という会議が開催されていることをご存知でしょうか?

非常に長い名前の会議になりますが、金融庁及び東証によって昨年8月に設置された会議で、有識者が集まって議論が行われています。

スチュワードシップ・コードは平成26年2月に、コーポレートガバナンス・コードは平成27年5月にそれぞれ公表されましたが(用語の解説はこちら)、両コードの普及・定着状況をフォローアップするとともに、上場企業全体のコーポレートガバナンスの更なる充実に向けて、必要な施策を議論・提言することを目的として同会議が設置されています。

 

同会議はここまで何度も開催されてきましたし、今後も継続して開催される予定ですが、先日2月18日に、ここまでの会議での議論と検証の結果をとりまとめた意見書「会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に向けた取締役会のあり方」が公表されています。コーポレートガバナンス・コードの内容は多岐にわたりますが、今回の意見書はその中で「取締役会のあり方」にフォーカスされたものとなっています。

意見書では「取締役会のあり方」について、①CEOの選解任のあり方、②取締役会の構成、③取締役会の運営、④取締役会の実効性の評価という4つの観点から、現時点で重要と考えられる視点の説明や、実際の上場企業におけるそれぞれの取り組みの具体例が記載されており、参考にすることができます。

 

「実効的な取締役会の運営」というテーマは、将来的な上場を目指している多くの上場準備企業にとっても直面しているテーマだと思います。上場審査においては、取締役会を毎月開催する、取締役会に全役員が出席する、取締役会において役員間で活発な議論を行う、などといった基本的な事項が求められます。そのため、それらができていない状態からの改善を図っている状態の企業の方も多いはずです。それらをしっかりと整備・運用することによって上場審査をクリアできると、晴れて上場企業となることができるわけですが、今回の意見書で示されている各社の取り組み内容は、現状の上場審査で求められているレベルの更に上を行っているものに見えます。

会社のガバナンスレベルの向上のため、まずは上場審査をクリアできるレベルの取締役会を作り上げることに注力する必要があるのでしょうが、その先には、意見書に記載されているような取り組みまで発展させていくことが求められている時代になっていると言えます。会社の管理体制の中長期的な目標を把握しておくという意味でも、上場準備企業の方にも内容を一読しておくことをお勧めしたいと思います。

 

関口

 

IPO状況12月27日現在

2024IPO数(通期)=86*

2023IPO数(通期)=96*

 

市場別

2024

(通期)

2023

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

4*

13

64

1

0

4

1

2

23

66

5

1

1

0

 Qボード 3 1

合計

  90

99

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過年度のIPO状況

2023IPO(通期)=96*

 

市場別

2023

(通期)

2022

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

メイン-名

札幌(本則)

ネクスト-名

アンビシャス

2

23

66

5

1

1

0

3※1

142

70※3

2

0

2

1

 Qボード 1 0

合計

   99

92

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。

1:東証11社を含みます。

2:東証2部+JQ4社を含みます。

3:マザーズ10社を含みます。

 

2022IPO数(通期)=91

 

市場別

2022

 (通期)

2021

(通期)

プライム

スタンダード

グロース

東証1

2

10

60

1

6

東証2

3

8

マザーズ

10

93

JASDAQ

メイン-名

1

2

16

名証2

0

3

ネクスト-名

セントレックス

2

0

1

Qボード

アンビシャス

0

1

3

合計

92

130

 複数市場へ同時に上場する会社があるため、IPO社数と市場別内訳の合計は一致しない点にご注意ください。