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【加藤】四半期決算と月次決算の関係

 IPO準備会社にとって、内部管理体制強化の際の重要なポイントの一つに、四半期決算への対応が挙げられます。

 

 制度的にみると、四半期決算は単に月次決算を3ヶ月分合計するという単純なものではなく、企業会計基準委員会(ASBJ)が定める四半期財務諸表に関する会計基準(企業会計基準第12号)等に準拠して実施される必要があります。その上でさらに、取引所のルールに基づいた四半期決算短信や金商法(四半期連結財規等)に基づいた四半期報告書の作成にも対応しなければなりません。

 上場申請に際しては、申請期に関する四半期報告書(東証本則市場の場合は直前期分から必要ですが今年の716日以降は申請期以降に緩和予定です)の取引所への提出が必要であり、当該報告書には監査法人のレビュー報告書が添付される必要があります。従って、IPO準備会社の経営者は、これらに適切に対応できる人材を確保する必要があります。

 

 実務的にみると、四半期決算と月次決算の違いは、主として未収収益や前払費用といった見越し・繰延べ勘定の計上や減価償却・引当金、評価減、税金の計上等にあると言えます。

 ところで、皆さんの会社では、月次の経常利益の3ヶ月(もしくは6ヶ月、9ヶ月)単純合計と当該期間の四半期決算書上の経常利益の差額は一体どのくらいありますでしょうか。

 もし両者に大きな乖離がある場合には、その原因を分析し、乖離幅を縮めるよう改善を図る必要があります。そうしなければ、例えば毎月の黒字の月次報告を信じて下した経営判断が、四半期決算を固めてみると赤字であることが判明し、当該判断が適切ではなかった、というようなことが起こりかねないからです。

 上場後は四半期毎に決算内容を投資家に開示していかなければなりませんので、月次と四半期の乖離の論点は上場準備中にしっかりと対応しておくことが重要です。例えば、減価償却や引当金等を月次決算で計上していない会社の場合は、年間予算の12分の1を月次決算で計上するだけでも四半期決算との乖離幅は大幅に減少するはずです。

 

  なお、その場合には、予算を策定する段階で当該処理を加味しておく必要があります。

 3月決算の会社の場合は、時期的には今まさに次年度予算の策定作業の佳境を迎える頃だと思いますが、月次予算展開の際には上述の観点も是非お忘れなく。

 

加藤

 

 

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