公開前規制とは、上場予定会社の役員、その他会社と特別な関係にある者が、上場前に当該会社の株式等を取得し、上場後に売却することで短期間に利益を得ることを排除するために証券取引所が定める規制をいいます。
「上場前の株式等の譲受け又は譲渡」に関する規制と「上場前の第三者割当等による募集株式等の割当等」に関する規制があります。
公開前規制に適合しない株式等の譲受け又は譲渡や第三者割当等が行われた場合には、取引所に上場することはできません。
(公開前規制の概要)
1 上場前の株式等の譲受け又は譲渡
(1)特別利害関係者等が、基準事業年度の末日の2年前の日から上場日の前日までの期間に行った申請会社の株式等の移動の状況(内容、移動理由等)及び価格の算定根拠を「Iの部」に記載する(TOKYO PRO Market上場会社を除く)
(注)株式等の移動:株式または新株予約権の譲受け又は譲渡(上場前の公募等を除き、新株予約権の行使を含む。)
(2)申請会社は、上場日から5年間、株式等の移動の状況に係る記載内容についての記録を保存し、取引所が必要に応じて行う提出請求に応じなければならない
(3)その他
2 上場前の第三者割当等による募集株式等
(1)申請会社が、基準事業年度の末日の1年前の日以後において、第三者割当等による募集株式の割当てを行っている場合には、申請会社は、割当てを受けた者との間で、以下の内容の「確約書」の締結を行う。
①募集株式等の割当を受けた者は、割当てを受けた日から上場日以後6か月間(または払込から1年間)、継続して所有する。
②割当てを受けた者は、割当株式等の譲渡を行う場合には、あらかじめ申請会社に通知するとともに、事後において申請会社にその内容を報告する。
③申請会社は、割当てを受けた者が割当株式等の譲渡を行った場合には、当該譲渡の内容を記載した書面を、所定の日に取引所に提出する。
④その他
(2)申請会社が、基準事業年度の末日から起算して2年前の日から上場日の前日までの期間に第三者割当等を行っている場合には、当該第三者割当の割当の状況及び価格の算定根拠を「Iの部」に記載する(TOKYO PRO Market上場会社を除く)
3 第三者割当等による募集新株予約権の割当て等に関する規制
申請会社が、基準事業年度の末日から起算して1年前より後において、募集新株予約権(ストック・オプションとしての新株予約権を除く)の割当てを行っている場合には、上記2と同様に規制されます。
なお継続所有期間中に新株予約権の行使等により取得した株式も、当初の新株予約権の継続所有期間中は、継続して所有する必要があります。
4 ストック・オプションとしての新株予約権に関する規制
申請会社が、基準事業年度の末日から起算して1年前より後において、ストック・オプションとしての新株予約権割当てを行っている場合には、上記3とほぼ同様に規制されます。
ただし、ストック・オプションとしての新株予約権(または行使等により取得した株式)の継続保有期間は、割当日から上場日の前日までです。
第三者割当増資及び継続所有に関する規制の概略
(注1)新株の発行状況の開示の確保、継続所有の確約の締結の確認等のため、実質的な割当可能期間は上場承認日の前日までとなります。ただし、新規上場時の公募・売出しと並行して行われる第三者割当(当該公募・売出しにおける発行価格と同一の条件の場合に限る)に関しては、割当予定の株式に係る継続所有等の確約を証する書類を上場承認の前日までに提出することで実施可能です。
(注2)上場日以後6か月間を経過する日が割当株式に係る払込期日または払込期間の最終日から1年間経過していない場合は、割当株式に係る払込期日または払込期間の最終日から1年間経過する日までが継続所有期間となります。
新株予約権の割当及び継続所有に関する規制の概略
(注1)新株予約権の発行状況の開示の確保、継続所有の確約の締結の確認等のため、実質的な発行可能期間は上場承認日の前日までとなります。
(注2)上場日以後6か月間を経過する日が割当新株予約権の割当日から1年間を経過していない場合は、割当新株予約権の割当日から1年間経過する日までが継続所有期間となります。
(注3)割当新株予約権に係る取得株式等の継続所有期間は、当初の割当新株予約権に係る継続所有期間となります。
ストック・オプションとしての新株予約権の割当及び継続所有に関する規制の概略