マネジメント・アプローチとは、セグメント情報におけるセグメントの決定の際に用いられる手法で、「経営上の意思決定を行い、業績を評価するために、経営者が企業を事業の構成単位に分別した方法を基礎とする手法」のことをいいます。(セグメント情報等の開示に関する会計基準 45)
マネジメント・アプローチに基づき決定されたセグメントによる情報開示は「企業の経営者が意思決定や業績評価に用いている情報そのものを開示することが財務諸表利用者にとって有用である」という考え方に基づくものです。(セグメント情報等の開示に関する会計基準 54)
(マネジメント・アプローチの長所、短所)
マネジメント・アプローチに基づくセグメント情報には、以下の長所があると考えられます。(セグメント情報等の開示に関する会計基準 47)
(1) 財務諸表利用者が経営者の視点で企業を見ることにより、経営者の行動を予測し、その予測を企業の将来キャッシュ・フローの評価に反映することが可能になる
(2) セグメント情報の基礎となる財務情報は、経営者が利用するために既に作成されており、企業が必要とする追加的費用が比較的少ない
(3) 実際の企業の組織構造に基づく区分を行うため、その区分に際して恣意性が入りにくい
また、マネジメント・アプローチに基づくセグメント情報の短所としては、以下のような点が考えられます。(セグメント情報等の開示に関する会計基準 48)
(1) 企業の組織構造に基づく情報であるため、企業間の比較が困難になる
(2) 同一企業の年度間の比較が困難になる
(3) 内部的に利用されている財務情報を基礎とした情報の開示を要求することは、企業の事業活動の障害(注)となる可能性がある
(注)セグメント情報の開示義務のない競争相手との競争や顧客との価格交渉等を行う上で不利になる可能性があります。
関連項目:セグメント情報