上場申請会社は「Ⅰの部」において、その売上高、利益、資産等に係る情報を、投資家の判断に有用な一定の単位に分割して注記しなければなりません。
この注記を「セグメント情報」といいます。(注1)(注2)
(注1)連結財務諸表規則及び財務諸表等規則では、セグメント情報を「企業を構成する一定の単位(「報告セグメント」)に関する情報」と定義しています。
(連結財務諸表規則 第15条の2 第1項、財務諸表等規則 第8条の29 第1項)
(注2)連結財務諸表でセグメント情報の開示を行っている場合は、個別財務諸表での開示は不要です。(財務諸表等規則 第8条の29 第5項)
(セグメント情報の開示内容の概要)
セグメント情報の項目には、以下の内容を記載します。
(1)セグメント情報
① 報告セグメントの概要
② 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額及びこれらの金額の算定方法
③ ②に掲げる金額の項目ごとの合計額と当該項目に相当する科目ごとの(連結)貸借対照表計上額又は(連結)損益計算書計上額との差額及び当該差額の主な内容
(2)セグメント情報に関連する情報
① 製品及びサービスごとの情報
② 地域ごとの情報
③ 主要な顧客ごとの情報
(3)固定資産の減損損失
(4)のれんの償却額及び未償却残高並びに負ののれん発生益
(報告セグメントの決定)
セグメントの決定は、マネジメント・アプローチ(注3)の手法を用い、まず「事業セグメント」の識別を行い、次に事業セグメントを集約して「報告セグメント」を決定します。
(注3)マネジメント・アプローチ
経営上の意思決定を行い、業績を評価するために、経営者が企業を事業の構成単位に分別した方法を基礎とする手法をいいます。(セグメント情報等の開示に関する会計基準 45)
(上場準備における注意事項)
マネジメント・アプローチに基づくセグメントの決定は、単なる数値の集計区分の問題ではなく、「本来どのような管理を行うべきか」という問題を含んでいます。
上場審査においても、開示に必要な情報だけでなく、「業界の動向」、「仕入、販売等の状況」、「過去の業績の変動要因」「中期計画・予算」など、より詳細なセグメント別の数値説明を求められます。
そのため、セグメント区分が審査直前のタイミングで変更となり、慌てることのないように、早い段階から監査人や主幹事証券とセグメント区分について協議しておくことが望まれます。
関連項目:マネジメントアプローチ、Ⅰの部、証券会社審査と取引所審査