「目論見書(もくろみしょ)」とは、有価証券の募集もしくは売出し等のために、当該有価証券の発行者の事業その他の事項に関する説明を記載する文書で、相手方に交付し、または相手方からの交付の請求があった場合に交付するものをいいます。(金融商品取引法第2条第10項)
募集または売出しに関する届出を行う会社は、当該募集または売出しに際し、目論見書を作成しなければなりません。(金融商品取引法 第13条 第1項)
目論見書は有価証券届出書の内容を抜粋する形で作成されます。
新規上場会社(有価証券届出書は二号の四様式)の場合、目論見書の構成は以下のようになります。(金融商品取引法第13条第2項第1号、企業内容等の開示に関する内閣府令 第12条 1号 ニ)
構成 |
有価証券届出書(注1) |
目論見書 |
(参考) Ⅰの部 |
証券情報 |
第一部 |
第一部 |
- |
企業情報 |
第二部 |
第二部 |
第一部 |
提出会社の 保証会社等の情報 |
× |
× |
第二部(注2) |
特別情報 |
第三部 |
- |
第三部 |
株式公開情報 |
第四部 |
第四部 |
第四部 |
(注1)二号の四様式
(注2)Ⅰの部の「企業情報」の次に、三号様式(有価証券報告書)の「提出会社の保証会社等の情報」を挿入
発行会社、売出人、引受証券会社等は、届出の対象となる有価証券等を募集又は売出しにより取得させ、または売り付ける場合には、金融商品取引法に定められた内容を記載した目論見書をあらかじめまたは同時に交付しなければなりません。
なお、有価証券届出書に関して訂正届出書が提出された場合、会社は、訂正届出書の記載事項を記載した訂正目論見書を作成し、あらかじめまたは同時に交付しなければなりません。(金融商品取引法 第13条 第2項 第3号、同 第15条第4項)
(虚偽記載のある目論見書の使用禁止等)
虚偽の記載があり、または記載すべき内容の記載が欠けている目論見書を使用することは禁止されています。(金融商品取引法 第13条 第4項)
重要な事項について虚偽の記載があり、もしくは記載すべき重要な事項や誤解を生じさせないために必要な事実の記載が欠けている目論見書を使用して有価証券を取得させた者には、当該有価証券取得者に対する損害賠償責任が課せられています。(金融商品取引法 第17条)
(仮条件の範囲外での公開価格設定、売出株式数の柔軟な変更)
以下の場合には、その内容が目論見書(または訂正目論見書)にあらかじめ記載されていることが必要です。
①改めてブックビルディングを行わずに、日本証券業協会が定める範囲で仮条件の上限価格を上回る、または下限価格を下回る公開価格(仮条件を超える公開価格)を決定する可能性がある場合
②公開価格の決定と同時に、改めてブックビルディングを行わずに、日本証券業協会が定める範囲で売出株数を変更する可能性がある場合
なお、上記の「日本証券業協会が定める範囲」とは、以下のa、b、cのすべてを満たす範囲をいいます。
a 公募及び売出価格が、その仮条件の下限の80%以上かつ上限の120%以下の範囲内で決定されること(その旨及び決定さ れる価格の範囲が、仮条件決定時の訂正届出書等に注記されている場合に限る)
b 仮条件の決定時における売出数(海外販売分を含み、オーバーアロットメント分を除く。以下b、cにおいて同じ)が発行価格等の決定に伴い変更される場合には、発行価格等の決定時における売出数が、仮条件の決定時における売出数の80%以上かつ120%以下の範囲内であること(変更される可能性がある旨及び変更される売出数の範囲が、仮条件決定時の訂正届出書等に注記されている場合に限る)
c 発行価格等の決定時における、発行数(海外販売分を含む)及び売出数の合計数に発行価格等を乗じて得た額が、仮条件の決定時における発行数及び売出数の合計数に発行価格等の下限を乗じて得た額の80%以上かつ、発行数及び売出数の合計数に発行価格等の上限を乗じて得た額の120%以上であること。(その旨が、仮条件決定時の訂正届出書等に注記されている場合に限る)
関連項目:有価証券届出書、有価証券報告書、Ⅰの部、公開価格決定の範囲について、S-1方式(承認前届出書提出方式)