臨時報告書とは、有価証券報告書を提出しなければならない会社が、一定の提出事由に該当した場合に、その内容を記載して財務局長等に提出する報告書のことをいいます。(金融商品取引法 第24条の5 第4項)
臨時報告書の財務局等への提出は、EDINET(Electronic Disclosure for Investors’ NETwork)を使用して行います。(金融商品取引法 第27条の30の3 第1項、第27の30条の2)
提出された臨時報告書は、受理された日から5年間、公衆の縦覧に供されます。(金融商品取引法 第25条 第1項 第8号)
また臨時報告書は、EDINETでも閲覧することができます。
臨時報告書は、有価証券報告書や半期報告書などの定期的な開示資料と異なり、投資者保護のために開示することが適切である事象が発生した場合に提出する適時性を重視した開示資料です。
(臨時報告書の提出事由)
臨時報告書は、ファイナンスの決定、主要株主・代表取締役・公認会計士等の異動、提出会社(個別・連結)の財政状態・経営成績に重要な影響を与える事象の発生等の場合に提出します。
臨時報告書の提出事由及びそれぞれについての開示事項は「企業内容等の開示に関する内閣府令」に詳細に定められています。
(臨時報告書の提出事由については、本項末尾をご参照ください)
(臨時報告書の様式)
内国会社が提出する臨時報告書の様式は、第五号の三様式です。(企業内容等の開示に関する内閣府令 第19条 第2項)
第五号の三様式では、臨時報告書に、提出理由とその報告内容を記載することとされています。
(参考)臨時報告書の提出事由
(提出会社に係る事項)
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項(1号〜12の5号)
・外国における有価証券の募集または売出し
・募集によらないで行われる有価証券の発行
・募集等の届出を要しないストック・オプションの発行
・親会社の異動または特定子会社の異動
・主要株主の異動
・特別支配株主からの株式等売り渡請求
・全部取得条項付種類株式の全部の取得を目的とする株主総会の招集(株主数が25名未満になることが見込まれる場合)
・株式の併合を目的とする株主総会の招集(株主数が25名未満になることが見込まれる場合)
・重要な災害の発生等
・提出会社に対する重要な訴訟の提起または訴訟の解決
・株式交換、株式移転、吸収分割、新設分割、吸収合併、新設合併、事業の譲渡・譲受けの決定
・子会社の取得(対価の額等が重要な場合)
・代表取締役の異動
・株主総会において決議事項が決議された場合(上場会社等)
・定時株主総会前に有価証券報告書を提出した場合で、有価証券報告書に記載した定時株主総会の決議事項が修正または否決された場合
・財務諸表監査、内部統制監査を行う公認会計士等の異動もしくは異動の決定
・破産手続開始の申し立て等
・重要な取立不能又は取立遅延のおそれが生じた場合
・財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に著しい影響を与える事象の発生
・株主との間で、当該株主の株主総会での議決権行使や会社の取締役会の決議事項等について、所定の取り決めを行った場合
・株主(完全親会社を除き、大量保有報告書を提出した会社に限る)との間で、当該株主による会社の株式の取得・処分、保有割合等について所定の取り決めを行った場合
・重要な財務上の特約を行った場合等(重要な内容の変更があった場合を含む)
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条の2
・上場時ファイナンスのために、二号の四様式の有価証券届出書(以下「届出書」)を提出した会社について、届出書提出日後上場日の前日までに、当該届出書の第四部(株式公開情報)に、新たに記載すべき事項が発生した場合、もしくは記載内容に変更が生じた場合
(連結に係る事項)
企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項(13号〜)
・連結子会社に係る重要な災害の発生等
・連結子会社に対する訴訟の提起または訴訟の解決
・連結子会社の株式交換、株式移転、吸収分割、新設分割、吸収合併、新設合併、事業の譲渡・譲受けの決定
・連結子会社による子会社の取得(対価の額等が重要な場合)
・連結子会社に係る破産手続開始の申立て等
・連結子会社に重要な取立不能又は取立遅延のおそれが生じた場合
・連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に著しい影響を与える事象の発生
・連結子会社が重要な財務上の特約を行った場合等(重要な内容の変更があった場合を含む)
関連項目:有価証券報告書、半期報告書、有価証券届出書、旧臨時報告書提出方式(旧臨報方式)